【初心者必見】XSS(クロスサイト・スクリプティング)攻撃の仕組みと対策

セキュリティ

1. イントロダクション:XSSとは?なぜ危険なのか?

  • XSSの概要: XSS(Cross-Site Scripting)は、攻撃者がWebサイトに悪意のあるスクリプト(主にJavaScript)を埋め込む行為です。そして、そのサイトを閲覧したユーザーのブラウザ上で実行させる攻撃です。
  • 危険性: スクリプトが実行されると、深刻な被害が発生します。例えば、ユーザーのセッションハイジャック(Cookie盗難)やフォーム入力内容の詐取、ブラウザの強制操作などが可能です。

2. 攻撃の仕組みと原理:入力データがHTMLとして解釈されるとき

2.1. 攻撃が成立する条件

XSS攻撃は、以下の条件が揃った場合に成立します。具体的には、**「ユーザーからの入力データ」が適切に処理されません。その結果、それが「WebページのHTMLの一部」**として組み込まれ、ブラウザに表示されてしまう場合です。

  • 悪意のある入力例: 攻撃者は、ユーザー名やコメント欄などに、<script>alert('XSS');</script> のようなコードを挿入しようとします。
  • ブラウザの解釈: サーバー側がこれを単なる文字列として扱いません。代わりにHTMLタグとして処理してしまうと、ブラウザはそのコードを正規のJavaScriptとして実行してしまうのです。

2.2. XSS攻撃の3つの主要な種類

XSSは、悪意のあるスクリプトがどこに保存・埋め込まれるかによって、主に3つに分類されます。

  1. 反射型XSS(Reflected XSS):
    • 仕組み: 攻撃者のスクリプトがURLのパラメータに含まれます。それがサーバーを経由した後、即座にユーザーのブラウザに反射(反映)されることで実行されます。(例:検索結果ページのエラーメッセージなど)
    • 特徴: 攻撃はURLリンクを介して行われます。したがって、標的は個々のユーザーです。
  2. 格納型XSS(Stored XSS):
    • 仕組み: 攻撃者のスクリプトがサーバーのデータベースやファイルに**永続的に保存(格納)**されます。(例:ブログのコメント欄、掲示板の投稿など)
    • 特徴: そのデータを含むページを閲覧した全てのユーザーが被害に遭います。そのため、最も深刻な影響をもたらします。
  3. DOMベースXSS(DOM-based XSS):
    • 仕組み: サーバーを介しません。ユーザーのブラウザ内の**DOM(Document Object Model)**操作によってスクリプトが実行されます。(例:JavaScriptでURLのパラメータを読み取り、そのままDOMに追加する場合など)
    • 特徴: クライアントサイドでの処理に脆弱性があります。したがって、サーバー側での対策だけでは防げません。

3. 🛡️ XSS攻撃からWebサイトを守る4つの最強対策

XSS対策の基本は、**「ユーザーの入力データは決して信頼しない」**ことです。

対策1: エスケープ処理(無害化)の徹底(最優先)

ユーザーからの入力データは、画面に表示する直前に必ずエスケープ処理を行いましょう。これにより、HTMLタグとして解釈されないようにします。

  • 具体的な処理: <>&"' などの記号を、それぞれHTMLエンティティ(例:<&lt; へ)に変換します。
  • 効果: たとえスクリプトコードが入力されても、ブラウザはそれを単なる文字列 (&lt;script&gt;) として表示します。結果として、実行することはありません。

対策2: サニタイジングの適用(必要な場合のみ)

入力されたHTMLタグの一部(例:許可された <b><i> など)のみを許可します。一方、それ以外の危険なタグ(<script><iframe><onclick>など)を除去・無効化する処理です。

  • 注意点: エスケープ処理が基本です。しかし、ユーザーにHTML入力を許可するWebサービス(リッチテキストエディタなど)では、サニタイジングが必須になります。

対策3: Content Security Policy (CSP) の導入

CSPはXSS対策の「最終防壁」です。これは、Webサーバーから送信されるレスポンスヘッダー(Content-Security-Policy)に、**「どこから来たスクリプトの実行を許可するか」**というルールを記述するものです。

  • 効果: 悪意のあるスクリプトが挿入されたとしても、そのスクリプトの実行元がCSPで許可されていません。そのため、ブラウザはその実行をブロックします。

対策4: HTTP Only Cookieの設定

XSSによって最も狙われるデータの一つがセッションCookieです。

  • 設定内容: セッションCookieを発行する際、HttpOnly 属性を付与します。
  • 効果: JavaScriptからCookieにアクセスできなくなります。したがって、たとえXSSが成功し悪意のあるスクリプトが実行されたとしても、セッションCookieの盗難を防ぐことができます。

4. まとめ:XSS対策はWebアプリケーションの基礎

XSSは、Webアプリケーションの脆弱性の中で最も頻繁に見つかるものの一つです。

  • 最重要対策: エスケープ処理の徹底を、コードレビューの最優先事項として組み込みましょう。
  • 最終防壁: CSPの導入を検討し、多層防御を構築することが重要です。

これらの対策を講じることで、ユーザーが安心して利用できる安全なWebサービスを提供できます。

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